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落ち葉降り止まず

イギリスにいたときのこと。
私の住んでいたのは、テラスハウスの一角だったが、広い共用の庭を囲むように、いくつかのハウスが建てられ、庭には、人が歩く道が付いていた。
そして、庭には、見上げるような大きなプラタナスの木がそびえ立っていて、ハウスの3階にある私の書斎の窓から、木の全貌がよく見えた。
イギリスの秋から冬は、雨風の激しいときが多い。
特に、強い風が吹くと、プラタナスの巨木は、全身が身もだえするように大きくうねり、ヒュウヒュウと鳴るさまは、女の泣き声とも聞こえるのだった。
時に私は、いつまでもそれに見とれてしまうことがあった。
風に揺れながらも、木の葉はしっかり枝にあり、滅多に落ちることはないように思われたが、後で、下に降りてみると、庭を埋め尽くす葉の多さに、ビックリするほどだった。
庭一面に黄色や茶に変色した葉が、降り積もり、庭番の男が、大きな籠を持ってきて、葉をかき寄せ、籠に詰め込むのだが、またすぐに一杯になってしまう。
そんな日が幾日、幾月も続いて、やがて、季節が変わると、今度は、待っていたように、水仙が咲き始める。
イギリス人の待ちこがれる春の訪れ。
道を歩きながら、笑顔で一杯の男の人が、すれ違いざまに私の顔を見て、

"Now! we are in spring!"

と言った事を覚えている。

このところ、風や雨を伴って、寒さが身にしむ頃になり、道路脇に吹き寄せられた木の葉の赤や黄色が目に付く。。
たまたま、ビルの窓から、ビデオ撮影したらしい、木の葉の揺れる映像を垣間見て、過ぎた日のイギリスの冬を思い出した。

金木犀の香る頃

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4日からハワイオアフ島での休日を愉しみ、昨夕、ホノルルからの日航機で、成田に帰り着いた。
日付変更線で、1日進むが、飛行時間は正味8時間ほど、実際の時差は、5時間だから、ヨーロッパなどの行き帰りよりも、大分楽だった。
成田から自宅までの何と遠いこと!
何だかんだで、3時間かかった。
日本の表玄関が、こんなに不便なのは、考えものである。
16時20分に空港に着いたのに、結局、家にたどり着いたのは、日が暮れて8時近くになってしまった。

駅で買った出来合いのお寿司を食べ、シャワーで旅のアカを洗い落とし、その間にパソコンのウイルス検索をし、更新し、留守中のメール85通に、ざっと目を通した。
スパムはゼロ、ブログ、掲示板、サーバ関係の通知、音楽MLの書き込みなどがほとんどで、個人的なメールはほとんど無い。
だから通常は、せいぜい10通くらいの処、今回は、参加MLの行事が重なり、動きがあったために、いつもより多かった。
返信の必要な物はあまり無いのだが、ネット関係の処理が終わっても、すぐには眠れず、夜中過ぎになってしまい、今朝は、5時半に目が覚めた。

ハワイは30年以上も前の若いときに、一度行っている。
ニューヨークからの帰りに立ち寄り、ロイヤル・ハワイアン・ホテルに2泊した。
知人の世話で、車で市内を回ったが、あまり覚えていない。
今回は、隣のシェラトン・ワイキキに4泊滞在、ショッピングや、街中の食事を愉しんだ。
念願のパールハーバーと、ミズーリ号も見たし、誘ってくれた息子夫婦のもてなしで、ゆったりと楽しく過ごすことが出来た。

思ったより気温は高いようだったが、空気が乾いているせいか、不快な暑さではない。
ホテルでも、街中でも、行き交う人たちは、アロハやムウムウ、素足にサンダルというのが、標準的スタイルで、あまりカチッとした外出着は、使い所がないようだった。
欧米の旅行者は、リタイア後の年配者が多いのに、日本の人たちは、若者ばかりなのが、印象的だった。

向こう時間の8日午後、更に3泊するという息子夫婦に別れを告げて、帰国。
彼らは、親たちを送り出して、ホッとしているに違いない。

庭の金木犀が、満開でいい匂いを発している。
29年前、海外勤務を終えて、帰国した年の秋、夫の母は脳出血で急死。
10月8日、金木犀が満開の時期だった。
そんなことも思い出した。
そして、私は今、その時の母の年齢である。
息子夫婦が、旅行に誘ってくれたのも、なにかの縁だろうか。