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雨のち・・・(2)

むかしボクが聴いてくださいと渡したテープ
紙袋に入れたまま開けてもみなかったでしょう
CCRというグループの「雨を見たかい」という曲
わたしはクラシックが好きなのなんていう人に
聴いてはもらえないんだとは分かっていたけど
 
渋いグレイの 長めのレインコートを着て
なぜ いつも無彩色ばかり着るんですかというと
無彩色なんて色はないのよといいながら
花柄のスカーフをちょっとだけ覗かせて
いつものようにきまじめな横顔を見せて

そうだ あなたには雨が良く似合っていましたね

あなたはいつも何かに耐えているんですねというと
さあ とほほえんで
この次はいつ?と訊いたボクに
声にならない返事をして
コートのボタンを上まではめて出て行きましたね

テーブルに残ったコーヒーカップの白さが目に沁みて・・

今も雨の日はクラシックを聴いているんですか

雨のち・・

雨だったからいけなかったんですわ
ホテルのアーケードになんて寄ってみたくなったのは

この中のとある老舗で働いているあなたに
ちょっと会いたくなったのです

気の利いた喫茶店もあるし いいCDを扱ってる店もありますよ
ついでがあったら いつでもお寄り下さい

それが外交辞令だということはわかっていたのに
外からショーウインドウ越しに見かけるだけでよかったのに

私に気付いて出てきたあなたの表情は
すこし戸惑っているようでした
すぐにメガネの奥に隠してしまわれたけど

雨は人の心を迷わせますね
思いがけぬ行動に駆り立ててしまうことも・・

いいえ 行くところがあって通りかかっただけですから と 
理由にもならないことを言いながら立ち去った私は
贈っていただいた著書のお礼を言うのも忘れていました